帝国ホテルは、2036年に完成予定の「帝国ホテル 東京 新本館」建設に向け、フランス在住の建築家 田根剛氏( ATTA Atelier Tsuyoshi Tane Architects )のデザイン案を採用したことを発表。帝国ホテルは2021年3月25日に本館とタワーの建て替え計画の実施方針を決定。このうち、本館については、建て替えの実施時期を2031年度~2036年度(予定)、単独棟のグランドホテルの建設を予定。

【帝国ホテル 東京 建て替え計画】
帝国ホテルは、1890年(明治23年)、日本の近代化を推進する明治政府の国策により、海外貴賓を遇する迎賓館として、初代会長である渋沢栄一の「社会の要請に応え、貢献する」という信念とともに開業。初代本館の風格ある 洋風 建築は、 隣接する鹿鳴館とともに西欧化を目指す日本のシンボルとなりました。

近代建築の雄たるフランク・ロイド・ライトにより設計され、1923(大正12)年に開業した2代目の本館は、通称「ライト館」と呼ばれ、 首都東京の近代化を先導した歴史的建築物でありました。 そして 1970 (昭和 45 )年に大阪万博を機に建て替えられた現在の本館、また 1980年代の高度利用・複合化の先進事例となった1983 (昭和 58 )年開業 の 帝国ホテルタワー など、 現在に 至るまで、それぞれの時代に於いて国際的ベストホテルを目指す企業として最高の施設であるべく努めたとしています。

本計画は、この先の 100 年・ 200 年も「メイド・イン・ジャパン」のホテルとして 、その中心的存在であり続けるための4代目新本館建築計画となります。

【デザインアーキテクト選考の経緯 】
選考にあたっては、当社が新本館に求める「品格・継承・挑戦」という 3 つのキーワードといくつかの条件のもと、国際的に活躍する国内外の建築家を 候補に コンペティションを実施。帝国 ホテルの歴史・理念を十分に把握し、ビジネス・文化・交流の中心地である日比谷地区で、次世代の日本の ホテル文化をリードする「新しいグランドホテル・迎賓館」にふさわしく、近景、遠景、どこから見ても「ザ・ホテル」の顔・存在感や独自性を体現するデザインを共に創り上げることができる建築家からの提案を求めました。

【コンセプトは「東洋の宝石」】
田根氏は、独自のアプローチである考古学的(Archaelogical)リサーチにより、帝国ホテルのみならずホテル業そのものを考察。賓客を迎え入れる「宮殿」の構えと人類の進歩の証である「塔」を融合することで、唯一無二かつ新しい迎賓館にふさわしく、首都の中心に燦然と輝く存在として、ライト館を形容する言葉として使われた「東洋の宝石」を継承し、未来につなげるコンセプトを提案されました。

帝国ホテルは、田根氏の「帝国ホテルの歴史を深く考察し、それに立脚して未来につながる建物を造る」というアプローチ姿勢を高く評価。さらに、これまで田根氏がプロジェクト毎に全く異なるデザインによってオリジナリティを表現されていることから、当社の独自性を創出してくれることへの期待と、才能ある若手建築家とともに未来の帝国ホテルを創るという気概を示していきたいという見地から、田根氏の起用を決定し、現在も協議を重ねております。

田根 剛(たね つよし)
Atelier Tsuyoshi Tane Architects 代表 | パリ・フランス建築家。1979年東京生まれ。Atelier Tsuyoshi Tane Architectsを設立、フランス・パリを拠点に活動。場所の記憶から建築をつくる「Archaeology of the Future」をコンセプトに、現在ヨーロッパと日本を中心に世界各地で多数のプロジェクトが進行中。

主な作品に『エストニア国立博物館』『新国立競技場・古墳スタジアム(案)』『弘前れんが倉庫美術館』『アル・サーニ・コレクション財団美術館(2021秋完成予定)』など。フランス文化庁新進建築家賞、ミース・ファン・デル・ローエ欧州賞2017ノミネート、フランス国外建築賞2021グランプリ、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞など多数受賞。

Souce: 帝国ホテル